彼女と出会ったのは、半年前のこと。
1本の電話からでした。
「生姜のジャムを食べて、感動しました。どうしても取材したいので・・・」
議父の手術の立会いに向かう途中で、とてもそんなことを考える余裕もなく、
「申し訳ないけれど・・・」
そんな私に、何度も連絡をしてくれて、
「1分でも・・・
どんな人が、どんな思いでこれを炊いたのか、どうしても会いたいんです・・・」
力強い話し方。
頭には、その言葉がずーっと残ってはいたものの、初めての病院通いに気づけばいつも夜中で・・・
少し看病も落ち着いた頃、ようやく彼女に会うことになりました。
「はじめまして」
強く会うことを望んでくれていた彼女は、イメージとは違い、
本当に細くて、華奢な女の子で・・・
そんな表現は失礼なんだと思うけれど、記者というイメージとかけ離れていてびっくりしたことを
覚えています。
彼女とはなしているうちに、本当にわたしのジャムを好きでいてくれているのが分かって、
何度も何度も取材に、撮影に来てくれて、半年。
彼女が書いてくれた記事が、色んな紙面に掲載されました。
彼女と何度も会ううちに、色んな話をするようになって、ある日、花束を持って
「奥田さんが好きです」って会いに来てくれました。
確か・・・クリスマス・・・二人で大笑い・・・
それは、おまけで、
本当はお母さんにとっておきのジャムをプレゼントしたいとジャムを選びに来てくれたんです。
実は、末期ガンの母親の口に、ジャムをしのばせてあげたい・・・
美味しいものが大好きだったから、さくらの季節までもう生きれないんです。
桜のジャムにします!!
最後の食べ物になるかもしれない、さくらジャム・・・
それから少しして、手紙が届きました。
そう・・・お母様が亡くなられたお知らせでした。
死に目には会えなかったけれど、これが私の仕事です・・・
彼女は気丈にも、奥田さんのジャムで、さみしさでいっぱいだった家族が笑顔になれました。
そんなことを言ってくれた彼女は、初めてあった時の女の子とは違い、たくましく、凛として
別人のようでした。
これは、、今後私がジャムを炊く上でいつも一期一会のジャムかもしれないと
思うようになった出来事でした。
先日、記事を持って来てくださるというので、おうちのごはんにお誘いしました。
心もお腹もいっぱいにしてあげたいって思いました。
相変わらず、細くて華奢だから、心配・・・母心・・・?
真っ直ぐに生きる彼女が好き・・・
きっと、この先もずーっと記者を続けていくんだろうな・・・
話をすればするほど、記者魂に尊敬と好奇心で食い入るように話を聞いていた(^_^;)
楽しい時間は、あっという間。
たまには、家に来て~ほっこりするようなご飯を作るから~
幸せです!!キュンって笑った彼女はやっぱり可愛い女の子だった~
大切な人がまた1人・・・
好きなんだな~ いやいやひとりの人として・・・ね。